ギリシャ問題で揺れているユーロの歴史について、60年代ごろまでさかのぼって、当事者への直接インタビューや、未公開の公文書、書簡などの資料を駆使し、これまで知られていなかった事実を明らかにしていきます。冷戦時代に「フランスには核兵器がある。ドイツにはマルクがある」なんて言葉を言う人がいましたが、この本でジャック・アタリがドイツ政府との会合で行った言葉が起源と知りました。そのほか、あの時は裏側であんなことがあったのかという新事実が満載です。ただし、分かりやすい背景説明はほとんどなく、著者の解釈も控え目で、よっぽどのユーロヲタクでないとついていけないことも確かです。債務危機でユーロの将来は不確かになってきましたが、将来を見通したいと決意した方は、これくらいの知識を仕入れておいて損はないでしょう。EUを知りたいという人も必読です。仲よしを装うEUや独仏が、テーブルの下でいかに激しく蹴飛ばし合っているか!
オリジナル英語版を見ていないので、原因について何とも言えないのですが、記述の中には細かい技術的な点で明らかな間違いがかなりあります。訳文も、正直言ってこなれていないし、こういったことで読みにくさが一層強まっているのはちょっと残念です。