旅とは「非日常」であって、いつもの通勤経路から少し外れて寄り道しても、きっと小さな旅であり、この「日常」と「非日常」の狭間が、自分でも越えられる・越えられそうな範囲であれば、いつかは挑戦してみたい、すなわち旅に出てみようという原動力なのでしょう。そして、この狭間を超えるのが本当の意味での旅であり、飛行機で現地直行では得られない醍醐味があると思ってます。昔、読みふけった「深夜特急」然り、「日常」を過ごしていた所から、世界地図を少しお酒でも飲みながら眺め、バスで大陸を横断できそう、あるいは、道路があるから車で横断できそうというのは、男性(一部の女性も)の多くは考え、いつかチャンスがあればとは思ったことがあるのではないでしょうか?筆者は、東京で練馬ナンバーのカルディナ(トヨタ車という点で日常どっぷり)を購入し、富山からフェリーでウラジオストクに渡り、ユーラシア大陸を横断して西端のロカ岬まで、ドライブ(失礼!冒険というべきか)されるのですが、車という個人の自由な手段で、且つ車という自分のスペースを持った「日常」と、未知の国であるロシアの「非日常」の中で、人との出会いや筆者の感情が、とても丁寧に叙情的に描かれております。筆者は、旅の8年後に本著を出版されたのですが、この8年という時間が、旅の直後の高揚感や脱力感を良い意味で熟成させていると感じました。前述の「深夜特急」も確か旅の十数年後に発行され、やはり、その期間での熟成が読みにとって一方的でなく、しみいる感覚を醸し出しているのでしょうね。