「思索行」という題名であるが、旅先での素朴な印象(あるいは著者の好悪)の記述が中心であり、掘り下げた思索は余り見当たらない。
日本や旅先の国々の近代化に繰り返し批判の言葉を投げつけているが、4万キロという距離を旅できたのは結局のところ自動車と、日本人であるがゆえに享受できた経済力によることについて無反省なのも気になる。知識人にありがちな態度に思える。
フランコ政権下のスペインや、革命前のイランなど今となっては貴重な記録も多いだけに、もっと深みのある文章だったら、と思える。
同行したカメラマンが写真を撮る記述が随所に出てくるにもかかわらず、1枚も収録されていないのはがっかり。