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ユートピアだより (岩波文庫 白 201-1)
 
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ユートピアだより (岩波文庫 白 201-1) [文庫]

ウィリアム・モリス , 松村 達雄
5つ星のうち 4.2  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)

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登録情報

  • 文庫: 392ページ
  • 出版社: 岩波書店 (1968/6/16)
  • ISBN-10: 400342011X
  • ISBN-13: 978-4003420119
  • 発売日: 1968/6/16
  • 商品の寸法: 14.8 x 10.6 x 1.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.2  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 209,507位 (本のベストセラーを見る)
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By ME
ウィリアム・モリスの時代はまさに産業革命の時代。
大量消費社会の先鞭をつけたイギリスに育ち、その製品の質の悪さに驚き、その改善の為
黎明期のグッドデザイン運動、つまりアーツアンドクラフツ運動を主導しました。

同時に、大量生産品を生み出す工場では低賃金での過酷な労働が横行し
結果として彼らの生活環境は劣悪であり、やがて貧民窟(スラム街)が発生し治安の悪化なども問題になってきました。
そんな状況にも目を向け彼らの労働条件の改善運動を展開しました。

まだ環境基準などない時代ですので工場から様々な化学物質の排出による公害も大きな社会問題でした。
モリスは現代も抱えるこれらの大量消費社会・資本主義社会の生み出す負の側面に真正面からぶつかった最初の世代の人なのです。

若い世代にはNPO活動をはじめとした社会運動や社会企業家などの活動が注目されているようですが
100年以上前に同じように問題に取り組みたくさんの挫折を経験した彼の描く理想郷=ユートピアとは何か。
今なお一読の価値はあるでしょう。
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By カスタマー
イギリス社会主義者であり、作家であり、画家であり、本の芸術的装丁者であった万能人モリスの描いたユートピア小説。仕事に疲れた主人公がビクトリア時代の地下鉄で家路を急ぐが、未来のユートピア社会に飛び込んでしまう。このあたりはイギリスの空想物語の祖のひとりである面目躍如である。未来社会は中世のような様子で人々はやりたい仕事をやりたい時にゆったり行っている。決して科学技術が高度に発展した社会ではない。女性は皆美しく、社会が良くなると女性が美しくなるという彼の持論が展開される。この理想社会はしかしながら、激しい社会闘争(革命)によってもたらされたことが語られる。現代日本は女性が美しいのだが、はたして理想社会に向かっているのか? 是非一読を! 
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今を去ること177年前の1834年3月24日に生まれたウィリアム・モリスは、イギリスのデザイナー・詩人・マルクス主義者。

中2のときに、ほとんどSFの古典を読むつもりでこの本を手にとったのが、後のアール・ヌーヴォーにも連なる、日常生活と芸術の一体化を提唱・実践したアーツ&クラフト運動の中心人物ウィリアム・モリスとの最初の出会いでした。

それまでに、先達のH・G・ウェルズやジュール・ヴェルヌから始まって、スペースオペラやエドガー・ライス・バロウズの『地底世界ペルシダー』から、世にビッグ・スリーと呼ばれる『鋼鉄都市』のアイザック・アシモフ、『幼年期の終り』のアーサー・C・クラーク、『夏への扉』のロバート・A・ハインラインの洗礼は済ませて、同時期に『地球の長い午後』のブライアン・オールディス、『非Aの世界』のA・E・ヴァン・ヴォークト、『ソラリスの陽のもとに』のスタニスワフ・レム、『大地への下降』のロバート・シルヴァーバーグ、『結晶世界』のJ・G・バラード、『ニューロマンサー』のウィリアム・ギブスン、『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』のフィリップ・K・ディック、『闇の左手』のアーシュラ・K・ル・グウィンなどなど(この際、日本SFは割愛!)、早川書房の世界SF全集を中心にして、「SFマガジン」を創刊号から蒐集して読むまでの没頭ぶりで、いわばまさにSF漬けの日々を過ごして、世界中のサイエンス・フィクション(科学的空想小説)もしくはスペキュレイティブ・フィクション(思弁小説)と対峙したことがありましたが、本書はそのどれとも異なった、いってみればひとりで世界中のSFと拮抗するような小説とでもいうのでしょうか。

原題は“NEWS FROM NOWHERE”。どこにもない場所からのニュース。

その、未来のイギリスらしき国は、大きな庭園のような理想的な桃源郷で、それは他でもなく流血の末の社会主義革命闘争によって、多くの犠牲を払って勝ち取られたものだった。

ただし、その樹立された世界は、本当に人間らしい行為だけがもっともすばらしいものとして、理想のあるべき姿が実現される世界として描かれます。

高度な文明による機械をはじめとする環境は、すべて美しい芸術的な、自然と調和するデザインにもとづいて作られる。そして大多数が都市を離れ、ゆったりした田園生活の中で生を謳歌する。

ここには生産至上主義も、貪欲に金儲けする志向も存在しなくて、人びとは大自然とともに生き、日常生活の中に美を見出し、楽しむために働くという・・・・・。

いやまったく、あきれるほどここには、彼の芸術観やデザイン思想、そしてもうひとつの顔であるマルクス主義者としての社会変革への強い意志が、すべて投影して構築されたまだ見ぬ理想の世界なのでした。

全身全霊をかたむけて書かれた思想的決算書とでもいうべきこの本が、他のただのフィクションとして没主体的に書かれた空想の産物とは、勝負にならないのは自明のことでした。

記述日 : 2011年3月25日 19:14:21
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