おもな内容は、ユースケースの主要な要素であるアクター、利害関係者、設計スコープ、シナリオなど。アクションステップおよび推奨フォーマットを含むユースケースのスタイルガイド、効率よくユースケースを書くためのヒント、いつどこで使えば良いかコメントをつけたユースケーステンプレート、ユースケースの利点を活かすための方法論などを、詳細に解説している。付録では、UMLにおけるユースケースの説明、用語集と参考文献の一覧を載せている。また、初級者から上級者向けのテーマを用意し、それぞれのテーマについて、概念、例、メモ、練習問題という流れに沿って、独学できるように構成されている。
著者のアリスター・コーバーンは、コンサルタントとして長年ユースケースに携わってきた。本書は、その経験をもとに著者が実践してきた内容を体系的に説明している。実務で効果的にユースケースを書くための参考書としては格好の1冊である。(大塚佳樹)
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それはユースケースというのが本質的にはただの散文の集まりにすぎないからであり、根本的にはユースケースの書く側の問題の捉え方・整理の仕方に全てかかっているからじゃないだろうか。
それなのに従来のこの手の本といえば、書き方と簡単な例を示すだけで、具体的に何を根拠にして書くのかということに対して比較的無頓着な傾向があったと思うし、それを読んだ読者は一度は分かった気になるが、再びワープロに向かうと「何を書けばいいのかわからない」となることがあまりにも多かったように思う。
それに対して、この本はユースケースを書くために必要となる「視点」を読者に与えており、ユースケースといえど、所詮は散文の集まりであるのだから使う時と場所、問題把握のための視点と整理という基準をどのように持つかということを丁寧に教えている。
多角的・広範な議論が記されており、変に隔たっているとも思えず、そのため非常に実用的だと思える。
またユースケースというものがシステム設計・開発においてどのような位置を占めるべきなのかについてもきちんと述べているので、木を見て森を見ずということもないだろう。
個人的には、この本を読んで、ユースケースを書くというのは完全に一つの技法をマスターすることなのだとつくづく痛感した。
現在提唱されているシステム開発プロセスは全てユースケースを中心に駆動しており、要件把握・問題の優先順位・複雑さの検討等、ユースケースなしには考えられないし、仮にそのようなプロセスを踏まなかったとしても、従来のシステム開発にも十分すぎるくらい応用可能なのは間違いない。
散文を書くという基本的な技能でありながらそれほどまでに重要な要素になり得る、ユースケースを書くということを学ばないのは完全に損であるし、またお茶を濁したような書き方の例だけ挙げた本など読むだけ時間の無駄と思う。
そんなわけで、ユースケースをこれから学ぼうという人や書き方が分からないという人に、この本は最適な視点と技法を与えてくれる(少なくとも与え得る)一冊だと思う。
#但し、ユースケースの書き方だけに300頁もあるのか辟易する可能性は否定しない(^^;
要件定義のレベルで使うユースケースという言語の記述でそういうレベルの力をつかるためにはとても優れた本だと思いました。いい例だけが書かれた本というのは他にもあるかもしれませんが、この本の優れた点は、様々な生の事例を引用し、それぞれどこがよくてどこがいけないかを解説してくれるところです。自分の書いたものが、どう評価されるか、どこを直せばいいか、を考えながら読み進められます。
ユースケースで要件を記述していくということにいままでリアリティを感じませんでしたが、それは勉強した事例での記述がよくなかったからかもしれません。いい例と悪い例を見比べて学んでいくことで理解が深まるのはどんな言語でも同じなのですね。