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真犯人は誰なのか?
誰が嘘をついているのか?
誰が隠し事をしているのか?
読んでいるうちに「犯人はこの人だ」とわかってくるのに、決定的な確証がなく、名指しできないもどかしさ。
じりじりと照りつけるような夏の暑さ。
噎せ返るようにかぐわしい花の香り。
神秘的な美少女の魔性の微笑み。
感覚がぎりぎりまで刺激され、押しつぶされそう。
装丁がとても凝っている点も特筆しておきたいです。
この小説、字が微妙に「斜め」に印刷されてあるのです。
これが作品全体に漂う妖艶さ、不可思議さを表現するのにとても効果的。
こういった細かい点にも手が込んでいる作品なので、装丁も深く味わってほしいと思います。
その意味でこれはよくできた「反推理小説」です。確かに、ある章では登場人物の名前に対して他の章とは別の表記が与えられており、このあたりの仕掛けは中井英夫さんや竹本健治さんの諸作を思わせます。
この小説の不思議さは、公式な記録を個人の記憶をもとに構築し直す時に生じるゆらぎに起因しているように思います。「他人の世界と自分の世界は異なっている」と言ってしまえばずいぶんありきたりなのですが。
ただし、この小説の魅力の大半は、そういった仕掛けや方法論にあるのではないことは強調しておきたいところです。金沢を思わせる地方の街に生活している人々に直接会っているような懐かしさが、この本を一気読みさせてしまうのです。本当に読書は楽しいわと思わせてくれるところは、確かに「夜のピクニック」の作者です。お勧め。
皆が皆真実への鍵を少しずつ握っているのに
踏み込むことができない境界線の前に立っているような
それは読んでいる自分も同じで。
真犯人が目の前に見えているのに手を伸ばすことは
許されない。
遺書を残して自殺した男の存在により一応の解決を見た
その事件だけれど、時を経てさまざまな人間によって
過去のその事件が再構築されていく、
そのたびに早く次のページに!って思ってしまう。
その現場に残されていた「ユージニア」という詩
冒頭にそれが書かれているんだけど
その詩の雰囲気がまるごとその世界を包んでいるようで
私は好きでした。
まるで自分もその場所にいて話を聞いている気持ちに
なってしまうこの本は、
蒸せかえるような夏の日にもう1度読みたい。
そして私の真実に辿りつきたい。
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