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43 人中、42人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
なぜセルビアは悪役にされたのか。,
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レビュー対象商品: ユーゴスラヴィア現代史 (岩波新書) (新書)
複雑な民族構成を背景として激しい内戦が続いてきたユーゴスラヴィアの歴史をハプスブルク帝国時代から1996年に到るまで紹介しています。著者は日本ではもともとユーゴスラヴィアに対する関心が薄かったために、欧米のメディアの論調をそのまま受け取る姿勢が強かった、しかし欧米が主張したような「セルビア悪玉論」は果たして真実であろうか、と言うのが本書の一つの軸になります。第2次世界大戦下でのパルチザンの戦いも、チトー率いる共産党が成長するまでは各々の民族がドイツ・イタリアと時には結んだりしながら互いに殺戮を行っていただけに過ぎないとのべ、その活躍の神話性を指摘します。 一方で戦後チトーが推し進めた自主管理体制の限界をも指摘します。民族問題を解決したかに見えた74年憲法体制も実は問題を先延ばしにしたに過ぎないこと、しかしチトーの死語スロヴェニアやクロアチアから起こった独立の気運は抑圧されてきた民族感情の発露と言うよりは、西側と結びついて経済的先進地だった両共和国がさらなる自立性を求めたというのが真相であったと述べています。 ミロシェヴィッチ大統領が殺戮の主犯であったかのような報道もなされましたが、殺戮や集団レイプを行っていたのはムスリム、クロアチアも同じであるという指摘は重要です。西側諸国に近しいカトリック系クロアチアと湾岸戦争を受けてアラブ諸国への配慮から無視するわけにはいかないムスリム人に援助を行う一方で、正教会系のセルビアが悪玉に仕立て上げられた側面も見逃せないのです。
26 人中、23人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
ユーゴスラビアは何故崩壊したのか。セルビアだけが何故悪者になったのか,
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レビュー対象商品: ユーゴスラヴィア現代史 (岩波新書) (新書)
旧ユーゴが崩壊した理由を1800年代にまで遡って解説した本である。ページ数に制約がある新書の性格上、内容的には概略とどまっているのだが、初めて読む者にも理解しやすい内容となっている。ユーゴ崩壊の過程において、セルビアは悪者のレッテルを貼られ、「民族の独立(自決)」を掲げる国々は正義とされていたが、著者は、各共和国の独立はそんな単純な理由で説明できるものではなく、誰もが被害者であり同時に加害者であるという趣旨でセルビアだけが悪者ではない(その為に時代を遡っている)と主張する。そして、おだやかな表現ではあるが、各政治勢力に追随しただけで一方的な報道を行ったマスメディアのプロパガンダを批判している。 「戦争広告代理店(高木徹著)」というノンフィクションがある。ボスニア内戦においてボスニア・ヘルツェゴビナの広報活動を請け負ったアメリカの広告会社を描いたこの作品は、広告会社が行った「宣伝」とそれを鵜呑みにした各国メディアの様子がよく理解できる。一般人である私には衝撃的な内容の力作であったが、同時に著者がNHKのディレクターであるにもかかわらずメディアの罪を反省しようともしない後味が悪い作品でもある。 ユーゴ内戦は、コソボ紛争時の99年にNATO(アメリカ)が人道介入の名の下に行った空爆によって終結されたとされているが、その後、この介入にある思惑があったことが文書(付属文書B 興味のある方は調べてみてください)で明らかになっている。 一応の内戦終結後、メディアは沈黙し、モンテネグロの独立も殆ど報道されなかった。彼らの行為が旧ユーゴ庶民レベルでどのような深刻な状況を引き起こしているかを知りたい方には「木村元彦」の一連のルポを読むことをお勧めしたい。
25 人中、22人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
ルーマニアおじさん:ユーゴスラヴィアって?,
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レビュー対象商品: ユーゴスラヴィア現代史 (岩波新書) (新書)
この本は、最近話題になっているユーゴスラヴィア地域での政治的な動きを解説する体裁を取って書かれている。その中で、ユーゴスラヴィアを構成する各地域、セルビア、クロアチィア、モンテネグロ等の歴史や文化、そして言語に解説を加えている。この本で必見なのは、書いている解説と文章で、二つのユーゴスラヴィアすなわちティトーのユーゴスラヴィア連邦とユーゴスラヴィア王国についての包括的で、理解しやすい考え方を提供して、それらを通して長い歴史の中で、これらの対立構造が作り上げられたことなどの争点を明らかにしているところだと思います。 この地域の政治や対立構造、そして各民族の特徴や成り立ちを理解する上で、入門書として大変多くの優れた部分があると見とめるものです。 この地域に関心ある方の一読を薦めます。
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