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彼の家系に牧師は多いが、同時に霊媒とも関係が深いこと。
彼自身幼い頃から、家系に多くの聖職者がいながらも、自らの方が神について詳しいと確信を持っていたことなど、少なくとも超心理学の範疇に踏み込みかねない危さが、この本の魅力であり、同時に出版を思い止まろうとしたユングの懸念の一つであったであろう。
有名なフロイトとの決別の理由なども、この内には書かれているが、しかしユングの視点から著されていることは、読者は注意しなければならない。
ユング心理学についての入門書は数多く出版されているが,それだけでユング心理学の入門とするにはあまりに危険である。なぜなら,ユング心理学は,入門書という体裁の中で論じるにはあまりにも厄介な性質を持ち合わせているからである。主要な入門書には,その厄介でありながらきわめて重要な部分がすっかりこぼれ落ちてしまっているため,ユング思想の広大さを受け止める視野を提供してくれない。それはある程度やむをえないことではある。しかし,やはりユング心理学を学ぶなら,その厄介な部分を避ける訳にはいかないだろう。なぜならば,その厄介な部分にこそ,ユング心理学誕生の秘密があり,ユング心理学を理解する鍵があると思われるからだ。なぜ厄介かというと,ユング心理学自体のルーツが,ユング自身の内的世界についての濃密な個人的体験にあるからである。それを知るのに『自伝』ほどふさわしいものはない。
これまで入門書にしか取り組んだことがない人は,大急ぎで読むべきである。きっと,その迫力にユング心理学のイメージを変えざるをえなくなるだろうし,他のメジャーな心理学にはないその「計り知れなさ」によって,より強烈に興味を引かれること請け合いである。また,これからユング心理学の勉強を始める人は,河合隼雄著『ユング心理学入門』(培風館)と一緒に本書を読むと,ユング心理学に取り組む最低限の準備を整えることができるだろう。
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