タイトルはいっけんお手軽な感じで、実際老松さんの文章は工夫されていて門外漢でも読みやすいはずだが、本書の中身は、ユング心理学の「秘伝」(ゆえにあの河合隼雄氏も『ユング心理学入門』の時点では十分に説明できていない)たるアクティヴ・イマジネーションの噛み砕かれたガイドである。
多くのユンギアンは、ユング同様、これを古代からの宗教思想・行思想など−−錬金術的自己変容やヨーガ、マンダラなどなど−−に結びつけて展開する。たとえば正統派の東洋思想家であり修行者であった湯浅泰雄先生はその達人だった。しかし老松氏は、それらに目配りしながらも、武道の身体感覚や恋愛などのコミュニケーション体験などさまざまな例に引きつけながらわかりやすく描く。
こうした手引きによって、読者は、見え隠れする他者が、イマジネーションの中でいきいきと私に反応し、ときに私の道を妨げ、ときに私の背中を押す体験をするだろう。クライエント(アクティヴ・イマジネーションの用語ではイマジナー)の冒険ファンタジーのようなしかし主体的体験に深く根ざした体験例が、本の中に収録され、読者の理解を深めてくれる。