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5つ星のうち 5.0
ユング自伝の真相解明,
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レビュー対象商品: ユング伝記のフィクションと真相 (単行本)
精神医学史・心理学史専門のソヌ・シャムダサーニ教授が「C・G・ユングに関する自伝・評伝」にまつわる真相を精緻に調べ上げた『ユング伝記のフィクションと真相』という書名に相応しい労作です。私自身、本書を読むまでは世界的ベストセラーとなったアニエラ・ヤッフェ著『ユング自伝―思い出・夢・思想』がユング自身によって正当に認められた“自伝”であると認識していました。しかし、真相がそう単純なものではない事を本書は明らかにしてくれます。今まで国内では「ユング心理学入門書」のように扱われてきた『ユング自伝』や評伝類が彼を語るに余りにも乏しい資料から引用されて執筆されている事などにも細かく触れており著者の真摯さが伺われます。 また生前のユング自身は『ユング自伝』は自身の本ではなく彼の秘書であったヤッフェ夫人による「ユング回想録」になると理解していたといいます。ユングは『ユング自伝』について「(その本は)私ではなく彼女の名前で出版されるべきです。私自身が構成した自伝にはなっていないから。」と著作権管理者の義理の息子に手紙を送っている事も明らかにされています。 本著者は『ユング自伝』の他にも国内外で出版されたユング伝記類にも幅広く言及し、その内容の矛盾点や伝記としてのウィークポイントを挙げています。国内で出版されているものでは、ゲルハルト・ヴェーア『ユング伝』『C.G.ユング―記録でたどる人と思想』,バーバラ・ハナー『評伝ユング―その生涯と業績』も含まれています。さすが心理学史専門だけあって、各評伝に対するその分析は見事です。改めてユング自身の精神史・心理学について知りたいと思う気持ちを深く持たせてくれる内容でした。ユングは「自伝」について以下のように率直に語っていたようです。なるほどと思わせます。 私は常に自伝というものを疑ってきました。なぜなら人は決して真実を語れないからです。人が正直であるとか、あるいは人が正直だと信じている限り、それは幻想か、もしくは悪趣味です。[p193]
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