2006年、惜しまれながらこの世を去った米原万里さんの特集号。
まずこの特集で目を惹くのは、少女時代からの米原さんのアルバムでしょう。
御両親、妹さんとともにチェコに滞在中の写真、多感で聡明そうな学生時代から、
華やかで美しい通訳時代のスナップなど、どれも貴重な写真ばかりです。
田丸公美子さん、徳永晴美さんといった友人たちのお人柄を伝える文章、
妹ユリさんの回想(学生時代の米原さんの詩が収められています)、
沼野充義さんとのロシア文学をめぐる白熱の対談、
どれも面白いのですが、私が一番、感銘をうけたのは佐藤優さんの回想でした。
今日本の言論界で大活躍中の佐藤さんが「外務省のラスプーチン」として逮捕される寸前、
米原さんがどれほど心を砕いて彼を支えようとしたか、そして出獄した彼を励まそうとしたか、
米原さんの人間性を如実にあらわしたエピソードに強い感動を覚えました。
しなやかな知性と強靭な精神力、タフな行動力、そして弱い者への温かさ、
どれをとっても傑出した女性だったと思わざるを得ません。
日本や世界が大きな転機に立たされている今、米原さんの不在は寂しいかぎりです。
彼女のファンなら、必読の特集号だと思いました。