もうすぐ5周年を迎えようとしている「9・11」については、もうすぐ「ユナイテッド93」「ワールド・トレード・センター」と今年2本の映画が公開されます。
世界貿易センタービルへのジェット機の突入の状況は、何度もビデオを見せられ今でも思い浮かべることが出来ます。
その一方で、「ユナイテッド93」というのが何を意味するのか正直忘れていました。そう言えば、ペンシルバニアに墜落した一機があったなあと言うことを、この本を手にして思い出しました。そして、この乗客乗務員40名が、「英雄」として扱われていることも、初めて知りました。
この本は、副題として「テロリストと闘った乗客たちの記録」と付けられていますが、そうした描写は一切ありません。あくまで、関係者の取材を基にして書かれており、憶測での描写は全くありません。(映画の方は、そちらを中心に描くのだと思いますが・・・)
ところが、この本を読んでいると、乗客たちがコックピットに「レッツ ロール(さあ、かかれっ!)」と殺到し、テロリストたちと闘う様が見えてくるようです。このあたりは、作者の筆致と構成の上手さでしょう。40名の乗客乗務員の関係者へのインタビューが、出発直前から、テロを知ったところ、突入、墜落、その後と実に上手く配置されています。だからこそ、これだけの臨場感を持って読ませる本になっているのでしょう。
最後には、遺族の何人かの、テロに対する「復讐」に対する反対意見、「復讐」ではなく産み出したものをなくすことが大切だという意見を載せています。このあたりに、作者の良心を感じます。
「個人の平和が人類全体の平和につながるのに、個人のなかに平和が欠如している。世界の資源をすべての人々と、あらゆる生命と、地球自体で平等に分かち合っていないのです。」