ユダヤ人差別の根は深い。欧米人はユダヤ人虐殺を行ったナチスを糾弾するが、差別行動を取った自ら自身、あるいは宗教、あるいは習慣を大声で自己批判することはない。その代わり現在繰り広げられるイスラエル人のパレルチナ人虐殺には公然と非難の声を上げるのをためらっている(国連は旧ユーゴに対してどのように対応したか)。サルトルは無神論者であったがゆえに宗教がユダヤ人差別を引き起こしたという事実に遠慮はない。また我々日本人は世界中に「ユダヤ人」という純血種が存在するかのような錯覚を覚えるがそうではない、実際「ユダヤ人」と呼ばれる人は「ユダヤ人の血が流れている。」または「ユダヤ人と呼ばれる両親に育てられた。」というきわめて曖昧な根拠に立脚しているということを平易な言葉で著されている。注釈も必要最低限に絞られ読みやすい。「ユダヤ人差別」を考える際の入門書とも言える書物である。