本書は小さな本であるが、内容はおそろしく深い。マルクスはヘーゲル哲学と格闘しつつ己の思想を練成させ、『ヘーゲル国法論批判』という大部の草稿を著したのだが、そこでの結論的なものをブラッシュアップさせてコンパクトにしたものが、この『ユダヤ人問題によせて』である。この論文で有名な「人間的解放」の概念を提起するのだが、そこで「政治的なるもの」を如何に処理したのかに注目して読んでほしい。そうすると社会主義云々と全く関係なく、その現代的意義が見えてくるだろう。私の解釈はここでは控えるが、くれぐれも政治的解放=ブルジョア革命、人間的解放=プロレタリア革命などとは単純に読まないでほしい。難解ではあるが、マルクスなど今更と言わず、まず手にとって読むところから始めたい。