本書は、「ユダヤ人」「ユダヤ民族」にまつわる「真実」とされている事柄について、根本的な疑問を提起した本です。
曰く、ダビデ王やソロモン王に関する聖書の記述は、真実なのでしょうか。彼らは、「実在」したのでしょうか。
曰く、ユダヤ人がかつての住処であった「イスラエルの地」を追われ、2000年もの間世界中を放浪したという「神話」はどこまで本当なのでしょうか。
曰く、どうして、今のイスラエル歴史学は、イエメン、カスピ海沿岸に、かつてユダヤ教を国教とする王国が存在していた事実を無視したがるのでしょうか。
そして、民族としての「ユダヤ人」「ユダヤ民族」なるものは、本当に存在するのでしょうか。
著者は、最後の質問に対し、「NO」と答えます。
そして、「ユダヤ人」は、近代に入ってから作られた「神話」であると喝破します。
本書は、約460ページと分量が多く、訳文も直訳調ですし、世界史の基礎知識があることを前提にしているため、決して読みやすくはありません。
にもかかわらず、「ユダヤ人の歴史」という「真実」が創られていった過程を巡る本書の記述は、最後まで読まずにいられないと思わせる迫力に満ちています。
最近読んだ歴史の本の中では、一番の傑作でした。