正直、テレビ放送を観てガッカリの一言です。
原作とは全く違うストーリーに唖然としてしまいました。
ブラック・ジャック、本間丈太郎、ドクター・キリコなど様々な医者が、それぞれの信念を持って自分の信じた医療をほどこしているという、手塚治虫氏が当時の世の中に伝えたかったであろう死生観や医療制度などの真髄(それは現代にもはびこる医療の問題)が、序章とはいえ全く描かれていません。
商品説明にもある様に、原作で本名の間黒男(はざまくろお)は闇医者で名乗り、何故かトキオという名が本名となっており、幼少の頃に母と連続爆破事件に巻き込まれるという出だし。
戦時中の不発弾の残骸の爆発に巻き込まれ、その事前処理を適当にやっていた法に罰せられないヤツらに復讐していくという、反戦や政治構造の怠慢を糾弾するメッセージを含んだ原作とは大違い。
その黒男を奇跡的に救った本間丈太郎の、医者としても人間としても懐の深い大きな人間性も全くなし。(役者がヘボなのか、監督が氏の意図を全く理解していないか?)
ドクター・キリコに関しては「ブラック・ジャック」好きの方には評価が分かれるでしょう。
戦場で整った医療器具や薬品もない中で助けられない患者達を目の当たりにして、安楽死させる道を選んだキリコを氏はブラック・ジャックと対比させて「殺人鬼」として描いていますが、それは決して否定的ではなく「こういう医療もあって良いんじゃないか?」(現代にもある安楽死・尊厳死問題)という肯定的な存在として登場させたんだろうと私は思っています。
しかし、、、このドラマでは自分が最優秀と思っていたバカ医者が、ブラック・ジャックにオイシイ所を持っていかれた逆恨みで人前から姿を消す時に「キリコ」という名をパズルで発見するという全く深みのないエンディングとなっています。
俳優さん達のファンの方なら、コレクションの一つとして持っていても良いかもしれませんが、手塚治虫氏や「ブラック・ジャック」という作品をお好きな方なら、お奨めできる内容は一つもありません。