月刊『現代』07年9月及び10月号に掲載した記事を大幅増補加筆した上で
ヤマダ電機商法の現状をまとめた一冊。
後書に筆者自身も記していますが、取材対象先の口が予想以上に固かった
模様で(当事者のヤマダ電機は取材拒否とのこと)、ヤマダ電機商法の
肝心要の役割を担う山田昇社長については過去のインタビュー記事(経済誌や
専門紙等。筆者によるインタビューは一切無い)から拾って、それを*1)現実と
付け合わせる手法になっています。
*1)コジマやケーズデンキとの安売り合戦、広島や大阪進出、そして宮崎県
延岡市&日向市で行った零細電気店との容赦の無い乱売合戦等。
ヤマダの売りは「安売りしかない」という指摘はこの企業の核心をついて
います。一消費者として店舗に赴いてもそれを感じます(本のレビュー
なので仔細は省きます)。
それ故に常に背伸びした経営方針を取らないといけない(売上高至上主義
とも言える攻めの経営)、同業を徹底的につぶそうと安売りを仕掛ける
(日替わりで目玉商品を投入し「ヤマダは安い」というイメージを植え付ける
戦略)、しかし本当にライバルをつぶして地域一番店になったことが無い
(広島ではデオデオに、大阪と福岡ではヨドバシに挑むも未だその座を
掴めず)・・・
外堀から(当事者は取材拒否なので)攻める取材を行ってそのような点を
明らかにしていることは評価出来るのですが、当事者に迫れなかったことも
あり(これは本書がヤマダの急所・陰部にターゲットを定めていることも
影響しているだろう)、どうしてそういう選択をしたのか?そういう思考に
至ったのかという点がいまいち弱いのです。
(筆者の本文中に於ける推測はおそらく正しいと思われます。が、その推測を
裏付ける部分が良くできたノンフィクションものよりは弱いのです)
・・・と少し批判的なレビューにはなってしまいましたが、創業35年で
売上高約1.5兆円という専門系小売店最大の勢力を誇るグループとなった
企業の生い立ちから現況、そしてその企業の問題点を明らかにした点は
興味深いものがあります。
そして一気に読ませる筆力なのも事実。一読の価値有ります。