かつて日本を世界第2位の経済大国に押し上げた政・官・業の結束は「鉄の三角形」と呼ばれたが、バブル期にはヤクザが加わり「鉄の四角形」となった。著者はイトマン事件や泉井事件などを例に挙げ、イトマン事件の被告である伊藤寿永光・元イトマン常務へのインタビューを交えながら、この国が、いかに腐敗した癒着構造から成り立っているかを明かしていく。
日本の金融機関の不良債権処理が進まないのは、「ヤクザが政・官・業とタッグを組んで阻止している」からだと指摘する。巨大な不良債権の先には、どうやっても立ち直る可能性がないのに、政治的判断などで生かされている経営不振企業群がある。優良企業の足を引っ張るこれら「ゾンビ企業群」やヤクザと癒着した政治家、官僚らを一掃しなくては、日本は「さらに失われる10年」を続けることになる。今の日本の不況は純粋な経済問題ではなく、むしろ政治問題なのだという。
著者は、今の日本は法治国家、民主主義国家から程遠いと指摘する。国民がその事実を理解し、新しい日本を作る自覚を持つことが重要だと結ぶ。
(日経ビジネス 2003/11/03 Copyright2001 日経BP企画..All rights reserved.)
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24 人中、23人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
ひとこと、面白い,
By エド殿 (東京) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: ヤクザ・リセッション さらに失われる10年 (光文社ペーパーバックス) (単行本(ソフトカバー))
はじめの金融関連の内容には多少難解な箇所がいくつかありましたが、全体的には非常にわかりやすく、そして、面白い興味深い内容でした。日本人なら(タブロイド紙などで)何となく知っている、わかっているアンフェアな内容だともいえます。しかし、外国記者だからできるその詳細な取材によって得た事実をあからさまに突きつけられると、いくら温和な農耕民族に成り下がった一般庶民の代表である私でさえも憤りを感じます。それが著者の目的なのでしょうけど。 今回の選挙(2003年11月)で落選したエロタクこと山崎拓氏と小泉純一郎氏との黒い関係、ロッキード事件でだた一人スケープゴードにされた田中角栄氏、野中広務氏の生い立ちのタブーなど、内容はヤクザとの癒着を基点として多岐にわたっています。 しかし、「チーズはどこへ消えた 」がどうして日本でベストセラーになったのか不思議だという著者は、まだ日本人の深層心理にまでは至っていないのかもしれません。また、日本がアメリカの属国であることを日本人が知ったは最近であると著者は言及していますが、ほとんどの日本人は十数年前からそれを認識していたと私は思います。(マッカーサー統治時代から属国だということを) まあ、なんだかんだ言ってもとても面白い本です。わかってはいるけれど、もっと詳細を知りたいという欲求なのでしょうか、思わず著者の前著「日本がアルゼンチンタンゴを踊る日」と、著者が紹介している小説「雨の牙」も購入してしまいました。
26 人中、24人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
この国を理解する枠組みを教えてくれる一冊,
By
レビュー対象商品: ヤクザ・リセッション さらに失われる10年 (光文社ペーパーバックス) (単行本(ソフトカバー))
まず本書の内容を端的に表すストレートな題名と私の問題意識がシンクロし、迷わず注文した。著者はこの内容を語るに相応しい人物だと思う。カナダ人で英文経済紙記者である著者だからこそ知り得た事実が満載だ。裏の勢力と政治家・官僚・銀行・証券、そして企業経営者が、実はトップレベルで繋がっており、これらすべてが本当の抵抗勢力となって日本の改革を阻んでいると本書は指摘する。そしてそのツケは巧妙に国民に回されているのだ。日本は法治国家ではなく人治国家で、中南米同様の腐敗した泥棒国家でさえあるという著者の主張は説得力をもつ。 小泉首相がいまだに改革者とみられ、政権交代がかかった選挙でも投票率が上がらない現状をみると、本書の指摘通り、多くの日本国民は自分の国の真の形を理解していないのだろう。隠蔽を重ねてきた抵抗勢力が次第に臆面なく表面に出てきつつある今こそ、ひとりでも多くの日本人が「自分の為に」読んでおくべき書である。そして本書で論理展開が大雑把な部分は、自分の頭で考えてみるぐらいの姿勢が、我々自身の為に必要であろう。
58 人中、51人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
小説を読むような面白さ。日本のマスコミってなんだろう?,
By ゲバジジ (神奈川県川崎市) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: ヤクザ・リセッション さらに失われる10年 (光文社ペーパーバックス) (単行本(ソフトカバー))
「政・官・業」に加えてヤクザとの「鉄の四角関係」が日本の未来を奪おうとしている、というのがこの本の要諦だが、ビックリするような新事実はない。点としてしか理解していなかったこと、あるいは、こんなことがあるのではと多くの人が感じていたことが、ひとつのストーリーとしてまとめてある。ノンフィクションとして欠点はあっても、日本のマスコミは、国民の疑問に応えてこなかったし、これほど鮮やかに書かれた本もなかったと思う。「日本の問題は経済問題ではなく、政治問題だ」という前FRB議長ポール・ボルカー氏の発言には同感だ。筆者はりそな銀行のケース、ゼネコンとヤクザの深い繋がり、住友銀行の歴史から見える闇の構造、イトマン事件など具体例を多くあげ、詳細に分析している。とくにイトマン事件は、常務だった伊藤寿永光氏へのインタビューも含め、許永中と言う人物像など映画か小説かと思うほどの面白さだ。小泉首相の「構造改革」も所詮はごまかしでしかなく、日本の国債はすでにGDPの1.6倍。ヤクザも絡んだ「鉄の四角関係」が続けば、それは大増税と言う形で国民に振りかかる。説得力もかなりあるし、日本のマスコミからはなかなか得られない情報であり、いろんな事件が頭の中で繋がり、推理小説を読むような面白さがあった。
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