出演者があり得ないくらい豪華だ。
ユアン・マクレガーは、ジェダイの面影が無く「フィリップ君を愛してる」のナヨった感じ。
ジョージ・クルーニーは、「オーシャンズ」や「スリーキングス」の頼れる雰囲気より、後輩・若者的で新鮮。
ジェフ・ブリッジスは、ニューエイジの教祖的な存在で
「スターウォーズ」のジェダイマスターを好演してほしかったという制作者の声が伝わってくる。
ケヴィン・スペイシーは、嫌味な敵役を好演し、どこかショボさを出してピッタリの演技。
上記3人を相手に回して力不足を全く感じさせない存在感である、実に小物の役だが。
嫌味な奴でありながら、他の仲間の力を誰よりも認め、そのようになりたいと思っている存在で、
妬ましいが故にとる行動が、一層、本作に奥行きを与えている。
「手を組んで一緒に黄金時代を築こう」と誘う辺りは、キャラクターの心情を吐露していてグッとくる名シーンだ。
割とスルーされていたが。
コメディー映画で笑いたい気分の時に笑う映画としては実にいい。
みんな楽しんでいるのが伝わってくるし、実際笑える。
実にテキトーなつくりだが。
その一方でこれは、映画が好きで文化的な層のアメリカ人の贖罪であったり、
知的な境界線を感じさせる映画でもある。
一言でいえば、「アメリカ人のトラウマが何か?」が良く分かる映画だ。
そして、それを笑いに昇華している。
ベトナム戦争、湾岸戦争、イラク戦争という3つの戦争の爪痕。
ソ連との対立、ニューエイジ運動やヒッピー文化に超能力、そしてドラッグとスターウォーズ。
金と起業、車。ヤギと犬なら、アメリカ人はどっちを大切に扱っているのか?
そこに科学はなく、どちらかといえば文化と感性がある。
アラブ人の平和な生活をぶち壊す、ビジネス市場主義と実在するブラックウォーター的な民間軍事会社の存在。
「でも、悪いアメリカ人ばかりじゃないんだ」それが一番のメッセージかもしれない。
ある意味、イラクの特殊部隊が、かっこいい同等の敵役として描かれたのは初かも。
女性とまともにむき直れない(あるいは愛されない)オタク的な悩み。
軍隊の中で運動能力や頭脳以外の能力で活躍したい、これもオタク的な願望を充足させる。
制作者たちも気づいていない(あるいは意図して?)やっていることが明確化し、
それがまた大多数のアメリカ人の心象風景にそぐう内容だけにブラックな笑いを誘う。
「なんで世界は僕たちが思い描いた通りでないんだろう?」
純真でちょいオタの若者の声が聞こえてくるような、そんな映画だった。
大多数のアメリカの若者が、実際に多かれ少なかれ持っている気分なのだろう。
登場人物たちをみな実年齢以上に若く感じるのは、
そこに若者の行動パターンや思考が見られるからだろうか。
こういう映画を作れる懐の広いアメリカとなら、人は仲良くできるのではないだろうか。
ここまで一気にさらけ出したその気高さを評価して★5つとしたい。
下手なコメディーより笑えるのは確かで演技も一級品である。
ただ、間違ってもストーリーに期待してはいけない。