いや、すっとぼけた感じが実にいい。このオフビート感覚にのれないと全くのダメ映画になってしまうでしょう。「羊たちの沈黙」のもじりで『ヤギたちの沈黙』とかのパロディジョークとか。
一応『反戦コメディ映画』なんでしょう。アメリカ軍の中に結成された部隊を題材としていますが、結局最後まで“戦っている”感がありません。(笑)
本作は、役者で成立していると言っても過言ではないでしょう。
まず、視点人物となるボブを翻弄するリン・キャシディを演じたジョージ・クルーニーは、もともと渋みのある色男であると同時にコメディでの道化役でも優れた味わいを示していたが、見事な存在感を示している。言っていることは終始胡散臭いのに、純真に信じ切っている姿が妙に愛らしい。
その師匠格ビル・ジャンゴに扮したジェフ・ブリッジスも素晴らしい。こちらもベトナム戦争時代のニューエイジ的価値観を無邪気に信じ切って、ある程度は部下や周囲を引っ張ってしまう妙なカリスマ性を完璧なまでに体現している。もう一人のキーマンであるラリー・フーパーを演じたケヴィン・スペイシーも最高。(笑) ふてぶてしい知恵者に扮して現在右に出る者はいない、と思われる彼の本領を見事に発揮しつつも、その大真面目の行動が設定の馬鹿馬鹿しさと結びついて、ことごとく笑いに奉仕している。たぶん根は本物の悪党と見られるキャラクターなのに、ケヴィンがあまりにナチュラルに演じているから、妙な愛嬌さえ感じられてしまうのだ。
そして、最高の嵌り役なのは、ボブ役のユアン・マクレガーかもしれません。ご存知の通り彼は、「スターウォーズ」新3部作で、オビ=ワン・ケノービの若き日を演じています。ジョージ・クルーニーが彼に“フォース”の何たるかを説くというシークエンスには笑わされた。
最後までイマイチ目的は不明だし、いったい何処へ話を持っていくのか解らないのですが、そういう不満はいちいち笑いで吹き飛ばしてくれる。そのままクライマックスまでなだれ込み、ハチャメチャなまま、誰もが疑問に思う部分を敢えてクリアにしないまま終わってしまう。それでも爽快感を味わえるのは、当事者が最後まで全力で大真面目だからでしょう。また、そこが曖昧だからこそ、本篇は妙なリアリティがあるのだし、登場人物たちの脳天気さを笑っていられる。とりあえず、メイン4人のうちいずれかひとりでも好きなら観ておいて損はないでしょう。音楽も、オープニングにスーパーグラスの「オールライト」、エンディングは、なんとボストンの「宇宙の彼方へ More Than A Feeling」というなつかし曲が使われ、クラッシク・ロックファンを泣かせます。(笑)