本作は、2年前に日本でも公開された『僕のエリ200歳の少女』の
ハリウッドリメーク版です。
ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィストの原作から新たなインスピレーションを受けて
映画化されたのではなく、原作者が自ら脚色したオリジナル映画に対する
リスペクトを込めて作られているので、舞台がスウェーデンのストックホルム郊外
からアメリカのニューメキシコ州の田舎町、主人公の名前がエリ、オスカーから
アビー、オーウェンに、事件を追う刑事を物語の狂言回しに変更している以外は、
ほぼオリジナルのプロットを踏襲しており、字幕嫌いのアメリカ人向けに見慣れた
役者を使って焼き直された映画と言えるでしょう。
オリジナル版に比べて、テンポの速さと視覚効果で本作の方が分かりやすく
作られていて、特に、学校でいじめに遭い、家庭は両親の不和で父親不在(母親の
顔を映さない事で、少年と母親の希薄な愛情関係を表現)の孤独な少年が、
主人公のバンパイアに付き添う老人(「扉をたたくひと」のリチャード・ジェンキンスが、
哀感漂う演技で好演)と同じ運命を担うことが明確に描かれている点で、
少年とバンパイアが恋愛感情ではなく、正に血判で結びついた同志の関係で
あることが分かります。
但し、バンパイアが少女でない事を、去勢された局部を見せる(日本での上映では
ボカシが入った)事で観客に知らしめたオリジナル版に該当する場面が無かった事が
惜しまれます。
本作は、バンパイア役を「キック・アス」のクロエ・グレース・モレッツ、
少年役を「ザ・ロード」のコディ・スミット=マクフィーと、ハリウッドの将来を担う期待の
新人が演じていますが、クロエにはバンパイアとしての影が無く、
コディはいじめられっ子に見えない目力の強さがあって、雰囲気では、
オリジナル版のリーナ・レアンデションとカーレ・ヘーデブラントには及びませんでした。