17世紀のトルコの宮殿、主人公ベルモンテは捕らわれの身の許婚のコンスタンツェ、そして侍女ブロンデとその恋人の従僕ペドリルロを救出するため、その身分を隠し潜入します。パシャの誠実な求愛に対し、あくまで操を守るコンスタンツェ。迫る番人のオスミンをはねつけるブロンデ。その一方でかすかな疑念をいだく男たち。ドタバタの末のこの脱出劇、二組の恋人たちの顛末は?
正直この『後宮からの誘拐』、モーツァルトのオペラとしては今一つではあります(とは言っても流石にモーツァルト、十分面白いですが)。しかしだからこそ観るならばいい上演で観るべき!それにはこのDVDがうってつけです。
ベーム指揮の堅実な音楽。コミカルな描写を入れながらも奇をてらいすぎないスタンダードな演出。上手いところがそろった歌手。全ては完璧といっても過言ではありません。あえて言うならば、造りが手堅過ぎてそれが地味さに感じられることでしょうが、しかしそこまで言うのはさすがに贅沢過ぎるというもの。作品自体は(あくまでモーツァルトとしては)今一つでも、この上演はお見事としか言いようがありません。オペラの魅力、モーツァルトの輝き、充実感、満足感、そして幸福感!嗚呼!
オペラ好きならば是非観ておきたい、是非押さえておきたい一枚です。お買い得な価格もこれまた嬉しい。