カール・ベーム全盛期の'60〜'61年の録音だけあって集中力が極めて高い。
40番は感傷など皆無で、極めて厳格な造形の中から音楽の内面の美しさ、激しさ、力強さを浮き彫りにしている。
小林秀雄氏の「疾走する哀しみ」という名言からは印象が遠いが、それに囚われずにこのベームの演奏と向かい合うと、この曲の内面の極めて激しく厳しい感情がより明確に見えてくるように思われる。
41番は、これほど壮麗で力強い演奏は他で聴いたことが無い。巨大な石造建築物を眼前に仰ぎ見るかのような壮大さで、思わず息を呑んでしまうほどだ。ベートーヴェンを先取りするかのようなこの表現は、この曲には相応しいと思う。最近の古楽スタイルの演奏ではとても味わえない感覚だ。
ベームの音楽構築力とベルリン・フィルの力強く表現力豊かで完璧な合奏力が相乗効果を生んだ結果だと思う。
私は、オーケストラとしてはウィーン・フィルの方が好きだが、ベームの演奏した41番では'75年の日本公演、'76年のDGとの正規録音を含めても、このベルリン・フィルとの'61年版がベストだと思う。
SACDシングルレイヤ版となったことで、アナログで聴いたころのあの豊かな音が甦ったのも嬉しい。