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結論から言うと,非常に力強く構成がしっかりとした演奏でした。弦が少し繊細でないところが減点ですがそれ以外は気に入りました。特に第4楽章は何度聞いてもいいです。現代的な演奏のモーツァルトをお望みの人にはお勧めだと思います。
これは驚異的な演奏である。「ベートーベン交響曲全集」とともにアーノンクールの名声を決定的にした「名演中の名演」と言わざるを得ない。日本でも音楽学に詳しい若い世代の音楽評論家から、「理想的な演奏」という絶賛が相次いだ(この世代の評論家は、何事にも懐疑的で、普通「理想的」「ベストワン」「空前絶後」という表現をしないので、これは例外的な<評価>といえよう)。
驚くべき情報量である。楽曲は<動機>段階まで分解され、徹底的に彫琢されたうえ、(指揮者のラテン的情念で)アポロン的大伽藍へと再構成される。アーノンクールの場合は<動機>というよりもフィグールと言うべきかもしれない。彼は、楽曲に潜む中世・ルネサンス以来の様々な意味付けを承継した音楽の<要素>に対し、そのすべての文学的・精神的・歴史的・美学的・・・意味を理解・咀嚼した上で、<彼の演奏>という個別的な実践に必要な範囲で音響に反映させている。
この演奏には、空前の明晰さとスケール、そして巨大なアポロン的意志の力に満ちている。聴き手に、作曲家が書いた「すべての?音」「すべての?テクチュア」が聞えているという錯覚を与えるだけでなく、作曲家の「すべての?情念」をも体感している錯覚も与える(その意味でディオニソス的かもしれない)。スコアを見ながら数十回聴いても、この情報量を受け止められる聴き手は稀であろう。
アポロン的調和の世界でありながら、この演奏は聴き手を「血湧き肉躍る」肉体的快楽の世界へさえも導く。アーノンクールの革命(の完成段階)を、手っ取り早く体感するには、このモーツァルトの4曲、特にオススメである。
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