ジャズの世界では昔世話になった人、日頃バックをやってくれてて才能は有るが吹き込みに恵まれない地味な人に、名義は自分だが対等以上にフィーチャーした音源をセッティングして恩返しするって事がよく有るんです、クラシック界の人はエゴの固まりだと思ってたらヒラリーみたいな義理堅い人も居るんだね、このアルバムの隅々にそういうヒラリーの細かな気配りが感じられ彼女のファンなら誰しも一層好きになるはずだね。 バイオリンが伴奏楽器として書かれたモーツァルトのソナタを選んでる点でも彼女の意図は明白で、ナタリー・シュウさんのピアノ主体に聞こえるんだけど実はバイオリンがオンマイク気味に録音されているんです。彼女は自制心の強い人なんだな。 ヒラリーさんの音源を初めて聴くのがこれなんですが天才的閃きとステディな部分を兼ね備えつつも慎ましやかな上品さ繊細さが魅力なんだな。彼女が凄いのはただ寄り添う様にプレイ訳じゃないところ、彼女は第一楽章の出だし少し強く弾くと、ゆっくりとしなやかに飛翔し始める、まるでピアノに止まってた美しい揚羽蝶が悠然と羽ばたく様に。これがヒラリーが考えるモーツァルトの意図でしょう、軽快さを極めた浮遊する心地好さ。ワタシは最近ピリスのデノン盤ピアノソナタを聴きますが彼女もモーツァルトの「軽み」を上手く弾き出してますが、この作品の春風に舞う蝶の様な軽さには遠く及びません、モーツァルトはピアノソナタを最初作った上でより軽くする為にバイオリンパートを書き足したんじゃないかとすら思えるからです。しかもヒラリーは軽く抑え気味に弾いてますがリラックスできているせいかタッチは紗絹の様に滑らかで音色は陰影に富みパステルカラーの様な趣味の良い彩りでモーツァルトの佳曲を描き出しています。ヒラリーって大人の魅力が出てき始めたね、今後が凄い楽しみですね。