音楽は、空間芸術でもあり時間芸術でもあると言われますが、ミケランジェリ氏の演奏は、その常人をはるかに越えている研ぎ澄まされた感覚で築き上げられた、空間芸術の極みだと思います。
このアルバムでも、短調の名曲第20番、華麗な第25番それぞれ透明感に満ち溢れた空間を築き上げ、クリアでクリスタルな音色で、聴く側をモーツァルトの精神世界に案内してくれているかのようです。時間軸に関しても、楽章の緩急に合わせてタメの作り方を丁寧に変えており、速いパッセージでも突っ込むことがないので、安心して音楽空間に居続けることができます。
なお、モーツァルト協奏曲第20番以降の名演は色々とありますが、このアルバムをJazzという時間芸術も手がけたグルダ氏の演奏と聴き比べると、曲に対するアプローチの違いが面白く、なおいっそう楽しめると思います。