若きカール・ライスター(1937-)のクラリネットの高いテクニック、流麗な節回しが楽しめる一枚。同じベルリン・フィルの仲間たちとのモーツァルト(1965年5月録音)と、アマデウス弦楽四重奏団とのブラームス(1967年3月録音)の演奏。
最初のモーツァルトも悪くなかったんだけれど、後半のブラームスが抜群によかった。第1ヴァイオリンのノーバート・ブレイニン以下、アマデウス弦楽四重奏団の凛として美しい弦の響き、味わい深いブラームスの音楽の表現にしびれました。当時30歳のライスターと丁々発止、互いに生きのいい音楽をほとばしらせ、奏でてゆく室内楽の醍醐味。情熱的で、申し分のないブラームスを堪能させてもらいましたよ。
一方のモーツァルトの演奏は、ライスターが仲間をリードしていく雰囲気がありました。ベルリン・フィルハーモニー・ゾリステンの四人の弦楽器奏者の音楽が、ややかっちりとして硬い気がしたんですね。それとは対照的な、クラリネットのやわらかく、なめらかな旋律の歌い回し。もしかしたら意識的に、響きの硬軟を出していたのかもしれません。でも、音楽の懐(ふところ)の大きさと深みという点で、アマデウス弦楽四重奏団とのブラームスが断然、素晴らしかった!