アスペルガー障害、日本語では高機能自閉症。カタカナにすると何となくロマンティックだが、本人はトラブルも多く大変らしい。
本映画の主人公ドナルドはアスペルガー障害である。映画の冒頭、タクシー運転手を首になり、本人も大変なのに、それでも他の自閉症者のためのNGOを運営してる優しい青年だ。
演ずるのはジョシュ・ハートネット。ハリウッド大作でお馴染みの、どちらかというと男らしい役が得意な役者だと思う。しかし本映画では多感で優しい青年を好演している。
ドナルドのNGOに新しく女性が加わる。彼女もアスペルガーで名前はイザベル。この映画は二人の恋の物語だ。
アスペルガーは症候群で、実際にはいろいろなタイプがある。ドナルドは数字オタクで、不安になると計算を始める。また身近な物への執着が強い。
イザベルは人の感情を読めず、思ったことは口に出さずにいられない。美術や音楽には秀でて、性格は明るい。
両方が障害者なので、二人の間には過剰な気遣いがない。その分、人物を率直に描けていて分かりやすい。
二人の恋は臆病なドナルドをイザベルが積極的に引っ張るように進む。
アスペルガー障害は恋の障害にもなってしまう。けれども二人は反発しては、より強く引かれ合う。それを見守る仲間の視線は暖かい。
普通の人として見られたいドナルドと、ありのままを受け入れて欲しいイザベルは激しくぶつかる。でも、アスペルガーに限らず障害者というのは、この矛盾する両方の感情を持ってるのじゃないかなと思う。
やさしいドナルドもいいが、障害を持ちながらも、人生を楽しんでいるイザベルが魅力的だ。絵画に音楽と趣味も多いし、沢山のペットに囲まれて生活している。「ハッ」という快活な笑い方もいい。でもガラス細工のような脆さもある。それも評者には魅力的だ。
実話が元になってるらしいが、二人には本当に幸せになってもらいたいと思った。