この映画を観て、ワインの生産者から流通、消費にいたる世界に巣食う魔物を見た感じがした。それはこの映画に出てくるワインコンサルタントのミッシェル・ロランやワイン批評家のロバート・パーカー、アメリカのワインメーカーのロバート・モンダヴィでもない。
それはイタリア、サルデーニャのワイン醸造家の語る「進歩という幽霊」が人々の誇りを失わせるという言葉に如実に表れているように思った。
映画自体は、モンダヴィ一家のフランス進出事件やイタリアのオルネライアの買収、フレスコバルディとの提携を中心にミッシェル・ロランやロバート・パーカー、ド・モンティーユ等のワイン関係者のインタビューを絡めてワインの世界を鋭くえぐる構成を取っている。そしてそこからは、ワインの個性喪失が浮き彫りになる。確かに伝統だけで評価されてきたワインをアメリカ人のロバート・パーカー等が低評価するという大きな変革がワイン界には起きたのは時代の流れと納得できるが、その結果全てのワインが均質化される時代が訪れようとしているのは恐ろしい。
10年、20年後に栓を抜いたときに何ともいえない旨みを醸し出せるワインが最高と頑固に語るド・モンティーユの言葉が逆に印象的写る。この映画に出てくるどの人の言葉に納得感を得るかは人それぞれだろうが、ワインの世界にある意味警鐘を鳴らす作品といえる。
この作品、手持ちカメラで取材している為、手ぶれや画面の方向の切り替え等が頻繁にあり、普通の映画とは違い慣れるまではかなり目が疲れる。その点が難か。
ともあれ観終わった後、ワインの飲みたくなるのは間違いなくワインを用意して観るのをお薦めする。