イギリス・ケンブリッジ在住で本業の漫画家から2000年以降児童小説作家も兼ねて活躍し続ける怖い話の愛好家プリーストリーの初紹介の連作長編怪奇小説です。著者は子供の頃からエドガー・アラン・ポーやブラッドベリらの怪奇小説を愛読して来た筋金入りの怪奇マニアだけあって本書は流石に見事な出来栄えで子供から大人まで安心して楽しめるでしょう。初めと終わりの章間でモンタギューおじさんがエドガー少年に語って聞かせる9つの怖いお話は、どれも優劣つけ難い身の毛のよだつ恐ろしさで何処から読んでも大満足出来る事を保障します。『ノボルノ、ヤメロ』ジョゼフは不吉な諺「ニレは人を憎み、待ち構えている」を無視し樹齢数百年のニレの古木に登ろうとするが・・・・。『元ドア』いんちき女霊媒師の2人組は交霊会に出掛けた家で不思議な少女と出会い奇妙な元ドアを教えられる。『ベンチ飾り』トーマスは旅の行商人が持つ中世のベンチ飾りに魅せられ遂に手に入れるが次第に凶事に襲われる。『ささげもの』都会から村の教会に赴任した牧師の息子ロバートは塀に座る不気味な少年と友達になる。『剪定』退屈していたサイモンは丘の上に住む盲目のタロウばあさんの家に忍び込んだが・・・・。『額縁』母親が額縁の肖像写真を家に持ち帰った日から一家に凄まじい不幸が舞い込む。『精霊(ジン)』トルコの町を旅する絵描きの父と子に邪悪な精霊が忍び寄る。『毛布箱』遠い親戚の結婚式に招かれたヴィクトリアはお屋敷に幽霊が出るという噂話を聞く。『道』マシュー少年は故郷と両親を捨て見知らぬ土地を目指し旅立つのだが・・・・。どのお話も無慈悲で救いのない結末ですので相当に覚悟してお読み下さい。そして最終章『おじさんの物語』はわざと衝撃を和らげ恐怖を減らしながらも心にじんわりと沁みる物語で幕を閉じます。本作で怪奇ファンのハートをがっちりと掴んだ著者の次回作にも期待したいと思います。