本書のタイトルでもある「モンスター銀河狩り」には、宇宙全体に1000億個存在する銀河が形成された歴史を探る上で遥か遠方の宇宙、つまり宇宙が誕生してからまだ早い時期、に銀河を探すという事に前提があると著者の谷口先生は述べています。ゆえに本書では銀河という天体がいかなるものであるのかという導入部から始まり、銀河のエネルギー源は何であるのか、銀河が立派に育つまでにはどのくらいの時間が必要なのか、遠方、つまり誕生してからまだ若い時期の宇宙には巨大な銀河がどれだけ存在するのかといった疑問をIRASやISOによる赤外線銀河探査やサブミリ波帯による観測等の結果を元に明解に解説しています。
個人的にも谷口先生はお気に入りの天文学者の一人でもあり、本書の扱っているテーマが谷口先生の専門である銀河天文学に関連する事でもあるだけに一般向けの啓蒙書とはいえ銀河についてより一層知識を深められる内容でした。過去にも宇宙のダークサイドに関する書籍も出されていますが、本書でも銀河の運命を握る物質としてダークマターが取り上げられており、暗黒物質であると同時に見えない物質としてのダークマターが銀河の形成のみならず宇宙そのものの形成に影響を与えていたという事は、谷口先生ならではと思わされました。
宇宙そのものもそうですがそれを構成する銀河にもまだまだ謎に満ちている部分が存在すると思われると同時に、「モンスター銀河」というタイトルからも銀河は生き物であるとも感じられました。今後も銀河の正体がいかなるものであるのか明らかになる事を期待するばかりです。