これはかなりの「珍品」。
このタイトル、設定からすれば恐らくこういう映画になるだろうという思い込みが見事に外されました。
ただ、個人的にはその外され方は「期待外れ」ではなく「予想がつかない面白さ」であったことは確か。
実はかなり楽しんで鑑賞しました。
ですが当然ながらお怒りになられる方もいらっしゃるでしょうね。
見かけで言えば「第9地区」や「スカイライン」、「世界侵略:ロサンゼルス決戦」といった作品と同系列なのにベクトルはほぼ真逆に向いた作品になってますから。
本作のユニークさはSFモンスター映画の設定を利用しながら本当は、男と女の「ロード・ムービー」以外の何ものでもない点。
背景も境遇も違う男と女が危険な道行を繰り広げながら心を通わせてゆく、ちょっとこっ恥ずかしくもあり、微笑ましくもある(ザ・青春ロマンス映画)なのだ。
主人公二人のダイアログを含めてほとんどが即興に近い内容で、エキストラもほとんどが現地調達の地元の人たちらしい。
しかも本作はイギリス映画であり、アメリカ映画のようにユーモアでお茶を濁すような事もしない「シリアスな映画」となっていて余計に異色感が強いですね。
低予算の足枷を逆手に取った手法が生み出す独特の空気感が濃厚で、また、中・南米各国でのオールロケの効果も非常によく出ております。
では肝心のモンスターSFとしてはどうなのか?と問われれば、そこは微妙。
確かに「巨大モンスター」はちゃんと出てきます。でも「なんじゃあれは?」(笑)と言う感じですし、その露出も非常に限定的です。
じゃあ、怪獣SFとしては失敗なのか?
確かに本作の本質は「青春ロードムービー」なのだがモンスターSFのエッセンスの盛り込みかたに関しても実は中々にウマい。
それがあるから意外と「裏切られた」と言う気にはならない。
主人公の二人が旅路で目にする景色・風景に刻まれた文明崩壊の傷跡や異種生命体を巡る奇妙な生態系がミステリアス&グロテスクに描かれていて、ちゃんと「ワンダー」を感じさせてくれました。
特に夜の川でのシーンは派手さはありませんが、不気味で怖くってSF・ホラーとしての確かなセンスを感じました。
監督のギャレス・エドワードは元来VFX畑の方らしく、本作でもほとんどのスペクタクルシーンはCGですが見せ方が上手いので雰囲気が良く出来てます。
激しく好き嫌いが分かれる作品だと思いますが「真面目な映画」に徹した点を私は気に入りました。