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歴史とは本来多面的な存在であるべきと思います。ですが、今までの遊牧民の評価はそれに入っているようには見えませんでした。等しく歴史の上にあり、等しく活動してきたのに均整を欠いた歴史であると、反省せざるを得ません。しかも決してその影響力は小さくはないのに、です。調子のいいものは「文明人」の功績にして、都合の悪いものは「野蛮人」に押し付けてきたこれまでの歴史を平準化し、「文明」の傲慢を打ち破るためにも、私は著者を支持したいと思います。
高校で習った元+四汗国という捉え方が正しくなく、ウルスという概念を始めて知りました。二代目オゴタイの死がもっと遅ければ西ヨーロッパまでの侵攻も十分有り得たように思えます。フビライが伝統的・正統的な方法で大カーンに選ばれた弟を討ってカーン位についたことも、教科書では「アリクブケの乱」の一言。チンギスの弟たちについても何も知らなかった。
それにしても、大カーンやその有力候補者が絶妙のタイミングで急死を遂げるというのもここまで徹底するとすごい。暗殺ってよほどのことが無い限り歴史に残りませんからね。
「世界史」という概念がモンゴル時代に初めて出来たとか、ロシア・オスマントルコ・ムガールの近世まで続いた3帝国が大モンゴルの遺産であるというのも納得できます。
陳舜臣の「チンギス・ハーンの一族」も(文庫化されたし)お勧めです。
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