巻頭の村上春樹インタビューは大満足でした。自分の作家人生を振り返り、一人称から三人称までの移行に10年をかけたこと、インタビュー集(「アンダーグラウンド」など)や紀行取材本(「シドニー!」ほか)等の仕事でも、文体や語り手の視点の処理を一冊一冊アスリートのように学びながら書き手として進化しようとしていることが語られます。語り手としての彼の文学観や問題意識がうまく読者に明らかにされていると思います。
また、個人的には、「象を撃つ」(G.オーウェル)の柴田訳もお目当てでした。訳自体がこれまでの本訳と大きく違うことはありませんでしたが、こういう過去の名品も新しい読者に紹介し続けてほしいと思います。
クオリティを維持しつつ文学を扱うのが難しい時代ですし、ネタ切れが怖い気もしますが、地道に続いてほしい雑誌です。