さっそく注文して一読しましたが、前作「35分の1スケールの迷宮物語」で体験した既視感は健在です。
私は著者と同世代なのですが、中学生時代に夢中だったミリタリー模型の世界を、著者のモリナガ氏も
同時期に彷徨っていたのかと思うと、非常に感慨深いです。
モリナガ氏のすごいところは、その文体・イラストが読者に共感を覚えさせるだけでなく、模型制作の技術に
おいても卓越している点です。今回は写真で作例が紹介されているのですが、とくに戦車兵フィギュアの
塗装技法にはうならされました。オーソドックスな陰影表現でなく、質感に力点をおいているのですが、
真新しいウールの黒服や雪中の戦車兵の皮膚の質感などは正直目からウロコでした、脱帽です。高石誠氏の技法と
似ているところもありますが、質感の追求という点ではもっと際立っていると思います。
モリナガ氏の模型遍歴はまさに迷宮と呼ぶにふさわしい深遠な、そして豊穣な迷宮であると感じさせられました。
私自身の迷宮も今は荒れ果てていますがまた再び開拓してみたい、そんな気にさせる一冊でした。