本巻では被害者家族の問題にかなり大きな部分が割かれている。
死刑を継続していく理由として、「被害者遺族の気持ち」というのがある。しかし、本当の遺族感情とは、どういったものなのか、私を含め、被害者遺族でない人は、彼らの本当の気持ちを分かっているのだろうか?
まず、本巻で描かれる事実関係について簡単に触れておきたい。
一つめに、死刑囚と被害者遺族の面会は、現状においてほぼ行われていない。しかし、作中でも、主人公の刑務官・及川弘樹が言うように、決して法律上禁止されている行為ではない。主に拘置所所長の裁量で決められている(当然だが、上級組織などから一定の足枷が課せられている可能性はありえる)。
もう一つ、被害者遺族が死刑囚の助命を嘆願したケースも少ないながら実在する。決して、著者が自身の物語を面白くさせるためもしくはその主張のために作り上げた全くのフィクションではない。
おそらく、『
弟を殺した彼と、僕。』を郷田マモラ氏も読んだのではないだろうか?
上記の2点については、同書の著者の行為と重なっている。
死刑の存廃を論議する前に、本当の遺族の気持ちの在り様こそを知ることが必要なのではないだろうか?
改めて、その思いを強くした。