釣りが好きで、漁や漁師の話が好きな私には、
「銛で魚を突く」という技やその世界が垣間見られた
だけで、多分、十分に面白かったと思います。
ですが、この本は、なにより日本の大学で可能になった、
とても良質な青春時代を描き、記録したものとして貴重
だと感じています。
著者や登場人物たちの立ち上げたサークルの話が随所に、
というかこの本の主軸ですが、内輪の「伝説」や妙なルールの話を、
もう20年も前の自分の経験と重ねて、なにか懐かしく、
ほほえましく、読みました。ああ、こういうことって、
すごく楽しいんだよな…と。
こうしたサールク話が、少なくとも私には鼻につかずに読めたのは、
幾つか理由があるように思います。このサークルや著者たちが、
魚を突くという活動を通じて、現地の人びとと様々な関わりを
築いていること。そして、著者が魚類研究者として、それは
まさに好きなことを仕事にしようと、きっと懸命に歩んできて、
過去に埋没しない今を生きていること。最後に、
理科系の学者でありながら(?)、とても文学的なセンスが
あること。こうした要素もあったからでしょうか、
読み物としてもとても楽しめました。