とはこの漫画の裏表紙に書かれていた売り文句なのですがまさに言い当て妙。
簡単にストーリーを紹介すると……この物語は、主人公である「名和菊苗」と舞台となる専福寺高校バスケ部に所属する「泉宗介」が公園で出会うところから始まります。上下ユニホームでとんでもない高さを跳びつつ、反則のダンクをかまして「よし」と一人でつぶやく名和に興味を抱いた泉は彼に1on1を申し込み、それによって名和が試合に「最高のモメンタム=『良い流れ』」をもたらす存在であるという確信を得、彼に自分が着けていたユニフォームをプレゼントし、別れ際にこう言います。「今年 俺が学校にバスケ部作ったんだ 厳密には『南』ってやつと2人で」「来年の春また一緒にやろうね 次は同じチームで」。
一年後約束通り専福寺に入学した名和はその足で早速バスケ部の面々が活動している体育館に向かいます。がそこに泉の姿はなく、すでに来ていたもう一人の一年生を別の先輩方が囲み何やらピリピリとした雰囲気。入口に立ったまま彼らの話を聞いているとどうやら入部試験を行う直前だったらしいのですが、その内容は先輩4人との一騎打ち。当然無茶な要求だと一年生が抗議するも先輩の一人は「俺が作った部だ 文句があるなら去れ」とあっさり退けます。その先輩が泉と共に部を創設した「南京一」だと感づいた名和は間に割って入り、ていうかこんなことするなんてさては宗介君に内緒だろう、今日まだ来てないし、と訝ります。その問いに南は「あいつが今日のこと知るわけないだろ」、と答えます。「去年 死んだんだからな」。
こう書いてしまうといかにも王道、というか下手すると「ベタベタ」な感じの話で、あらすじだけで既視感をおぼえてしまう人も中にはいるのではないかと思います。
しかし内容が「ベタベタ」というのは言いかえれば「普遍性がある」ということ。このマンガの魅力はいかにも「王道(=『普遍的』)」な物語を作者が真っ当に引き受け、しかも読者を楽しませよう!と独自のセンスをはばかることなく自由に、かつ丁寧に真摯に描ききっている点です。実際自分も読み始めは「あー、ありがちな話だな〜」と思ってしまったのですが、頁をめくるにつれその個性的な絵とセンスとキャラ(マンガそのものに関しては完全に素人ですが・・・)に引き込まれ、気がつけばこの巻に収録された最後の話で不覚にもうるっと来てしまいました。とある本屋で平積みされているのをたまたま見つけ、表紙と裏表紙をざっと見た瞬間、「これはっ!?」と思い久々に本を即決で購入(要するに『ジャケ買い』)してしまいましたがまったくもって正解、マジでいい買い物でした。たまには自分の直感を信じてみるもんです。
といっても絵のほうはまだまだ「独自のセンスがある」と「単にヘタクソ」との中間にあるような感じですし、これこれこうだ、と説明しづらいセンスが隅から隅まで横溢しているような印象なので、これに波長が合わない人には読み通すだけでもだいぶキツいかなあとも思います。まあ絵は結局慣れの問題でしょうし、作者は読み切りを一本掲載しただけで本作が初連載ですから、まだまだ収まりきらず伸びていくんじゃないかなと期待してますが(エラそうでごめんなさい)。
長々と書いてしまいましたが、チャンピオンの場合単行本が売れないと連載そのものに赤信号が点る可能性が高いので(笑)、「王道」なマンガを読みたい方はぜひ。面白いですよ〜。