今注目の、謎に包まれた音楽プロジェクト、さよならポニーテール(さよポニ)。マンガのキャラによる架空の音楽ユニットという設定は、イギリスのGorillazと同じ、だろうか。とは言え、「さよポニワールドの神さま」ゆりたん、ゆりたんの力によってしゃべれるようになった「クロネコ」など、意味不明のキャラまで登場し、独特の世界を構築。しかしマイスペやYouTubeで観られるPVはアート感覚に優れ、創作への気迫ははっきりと感じることができる。
そして、その「気迫」は、曲を聴いた人ならすぐに分かるだろう。良質な…あまりに良質なシティポップスである。サウンドは、70年代のユーミン、さらにユーミンの音像を完コピレベルで現代によみがえらせた空気公団に限りなく近い。低音のメロディが儚げに歌われるヴォーカルも同様だ。
そして歌詞では、愛する人との出会い、別れ、過去の恋への追憶…といった題材が、可愛らしく、爽やかに表現されている。特に白眉なのが1曲目で、そこでは愛する人との永遠の別離の気持ちが歌われているが、これは「千の風になって」ばりの普遍性を持った歌であり、胸に深く沁み入る。他の曲からも感じ取れたのは、「人生のはかなさと、だからこそ感じられる愛し合うことの素晴らしさ」であった。その人生観…若者よりも、30代以上の方がより共感できるはず。さよポニの音楽は、だから、大人こそ聴くべきなのである。このアルバム手にとった若い人は、お父さんやお母さんに聴かせてみると、いいかもよ!
さよポニの売り出し方は戦略性の高さゆえ、なのかもしれない。だが、そんなことはどうでもいい。美しい音と胸に沁みる歌詞とメロディ…それこそが自分にとっては最も重要だ。彼らの音楽の特徴は、6曲目の歌詞が的確に言い表している。「さりげなくかつ鮮やかに きみは魔法をかけるんだ」…そう、僕はさよポニの魔法にかかってしまったようだ。いや、もしかしたら、「神さま」ゆりたんの魔法、なのかも…。