対象はIT関係者、技術用語も概念もテンコもりで、決して
やさしい本ではないし、読んでいて楽しくはない。テッチー向け。
頭から読んでいっても、まるでマニュアルを読むごとく味気ないし、
文字ばかりで読みづらい。
が、しかし・・・・・「必読の本」なのです。なぜか?
ポストPC、ポスト・インターネット、次のITシーンになる
スマートモブズ(ハワード・ラインゴールドによる)と
クラウドコンピューティングの幕開け。
その、日本における全貌を徹底的に網羅し、整理した
非常に有用な「今を整理した」よく書けたレファレンス本です。
本書を丁寧に読み解くことで、「手元のデバイスで、ネット上の
サービスを自由自在に、どこでも利用することができる世界」そう、
ユビキタス世界の到来と、その仕掛けをしっかりと知ることができるからです。
構成としては結構単純で、
本書の前半は、ドコモのiモードに言及しスマートモブズの夜明けを宣言した
ことから始まり、後半はマイクロソフトのクラウドコンピューティング、
iPhoneとクラウドサービス、クラウドビジネス、そしてAndroidのインパクト
を、マニュアルのごとく長々と解説。内容の核心は、クラウドコンピュー
ティング戦略詳細解説なのですが。
言ってしまえば、残念ながら主役は日本ではなく
(日本は、iモードで幕を開けをしたのだけれども、結局)
全部、米国で開発されたイノベーションテクノロジー
で、それを使った新しいサービスビジネス、サービスモデルの展開という
図式もくっきりと見えてきます。つまり、要素技術は米国発、システム
インテグレーション系は日本のビジネス・・でも、クラウドになって、
データセンターが日本にある必要がなくなれば、それも米国に持って
いかれてしまう。そういう意味でも、「細部に神は宿る」ということから
本書のようにディテールを重ねていくことで、かえって、現実がくっきりと
見えてくるのかもしれない。
しかも、驚くべきことに、刊行後1年経過していないのに、技術革新は
どんどん本書より先進んでいる。そら恐ろしくなるこのデジタル世界です。