凝った趣向と様式美、奥深いシナリオで、毎回とても楽しませてくれるシリーズですが、
本作はまた一段と素敵です。
至宝の香木を伝える家の姫を巡って、さながら竹取物語のように、四人の男が聞香で争う。
そんな人々の心の隙間にモノノ怪が忍び込む事に…。
「香道」の世界…それも、名香中の名香「蘭奢待/らんじゃたい(劇中では「欄奈待/らんなたい」)」を
絡ませるストーリー展開に、まず、とても興味を引かれました。
また、前半は色彩も画面も墨絵のように静かで、雅な世界の向こう側に、
正体のなかなか知れないモノノ怪の存在が感じられ、それが不穏に美しい。
モノノ怪と薬売りが対決する後半は、一転して、抑えられていた色彩が一気に爆発する様に、
すっかり目が奪われてしまいます。
それにしても、本作では「間」が一層絶妙です。
また、シナリオ的に「モノノ怪の鵺」の回に、何故「お香」を持って来るのか?…という所、
大ラスで「なるほど!」と分かるのですが、
(モノノ怪の所行の理由の方では無く、寧ろ)、重奏されるイメージそれ自体が狙いだと思われ、そこが本当に心憎い。
故に心理劇というより、純粋に「不思議な物語」となっていて味わい深い。
お見事!という他ありません。
最後に、
主人公の薬売りの、印象的な口上を書き留めて、このレビューをお終いにします。
あえかに儚くたゆたい消える
言葉では近づけず、けれどそこに在るもの
残るのはせつなさ……今は無い、という記憶