この本はコンピューティングについて知るべき内容が満載されている辞典のような本であるが、いわゆる辞典本につきものの面白みのなさは皆無で、読ませる辞典になっている。
どういったコンピュータが世に出たかという本は、これまでもたくさんあったように思うが、それがどういった意図の下に世に出たのかという点を、開発者や企業側からだけでなく、アメリカ社会の大きな動きと時代の要請を含めて細やかに追っている点がなかなかどうして興味をそそる。
例えば、ソフトウェアの話になると、プログラミング言語に終始するような気がするし、本書にも書かれていたが、ビル・ゲイツなどの成功物語で片付いている気がするが、システム全体を司るシステム・ソフトがなぜ登場したのかにもきちんと触れているあたりは心憎い。また、スパコンで有名になるクレイが初期に期せずしてミニコンにあたるコンピュータを開発していた話も面白い。
この本を読み倒すには、かなりの知識がいると思うが、久々味わって読むべきコンピュータの歴史の本が出たことは喜ばしいことだと思う。