輸入版が届いてからというもの、興奮しっぱなしでヘビーローテ中です!他の皆さんのレビューが結構辛口なのが意外なほど、ほんと世紀の傑作かもしれないと思う今日この頃です。今作はMudcrutchで取り入れた“スタジオライブ”的レコーディングをTPHBでも再現することにより、このご時世にストレートなロックを奏でることの難しさなど百も承知で、あえて世に問うたであろう意欲作だと思うんですよね。で、このバンドのうまさ・凄さを改めて示した上で、もうね、余裕綽々なんですよ。
ひとつ誤解して欲しくないのは、TPHBは新しいジャンルを切り開いてきた類のバンドではない。あらゆる音楽が細分化・カテゴライズされ、ヒップホップ全盛というか、「ロック受難の時代」において、先達の遺産をしっかりと受け継ぎ、次の時代へしっかりと橋渡しをしていくような、アメリカン・ルーツ・ミュージック「最後の砦」といった類のバンドなんだよね。例えるならば、先代の味を頑なに守り継いだ老舗料亭の跡取り息子、といったところか。「変わらぬ味」を守り続けているところに価値があるんだよね。
彼らの過去のカタログをじっくり聴きさえすれば、ビートルズにストーンズやディラン、バーズにヤングなんてのが必ず顔を覗かせるし、JJケイルがさらりと忍び込んでいることも少なくない。ZEP流リフで迫るナンバーなんぞそれこそゴマンとある。それらは単なる模倣ではなく、自らの血肉に昇華させて、TPHBの音楽として再構成させているところが心憎くもあり頼もしくもあるんだよねぇ。新しいものを貪欲に取り込み、「進化」を続けるミュージシャンは大好きだが、同じくらい「深化」に徹する人も大好きなんだよね(ミックとキースと言えば、わかりやすいかな?)。
「先代の味の方がうまかった」なんてのはただのノスタルジー。「変わらぬ味」を頑固に求め続けることは、ノスタルジーとは次元が違うとオイラは思うので、新たに産み出された素晴らしい成果に、今はしばし酔いしれたい気分なんだよね。