2009年はメンデルスゾーン生誕200年ということでリイシューされた定評ある全集。個々の曲で言えば、3番はやはりマーク盤が忘れられないとか、アーノンクール盤がいいとか、いややっぱりクレンペラー盤だとか、いろいろあるだろう。しかし、この演奏はそれらと比べても決して遜色ないし、全5曲ともロマン的でありながら端正なメンデルスゾーンにふさわしい高水準の演奏で揃えた見事な全集といえる。この値段と中身を考えれば、第一級のお薦めの全集だ。
それではなぜ星5つにしなかったかというと、演奏以外で残念な点が2つあるからだ。
第一に、これだけの全集をこの記念年に出すのになぜSHM−CD化しなかったのかという点。デジタル録音ではあるが、もう四半世紀ほど前の録音だ。SHM−CD化すれば、もう少し低音域が豊かになり音に広がりとかふくらみのようなものが増して、もっとよく聞こえたのではないかという気もする。
第二に、なぜ序曲集と分け、さらに弦楽八重奏曲からのスケルツォ(オーケストラ版)を序曲集の方に入れてしまったのか、という点。このスケルツォは、交響曲第1番をメンデルスゾーン自身の指揮でロンドンで演奏する際にその第3楽章と差し替えようとオーケストレーションを施したというもので、交響曲も序曲も収録した輸入盤4枚組セットではその第1番と同じディスクに入っており、自分で組み合わせて聴き比べられる。収録時間の関係かもしれないが、それならその輸入盤セットと同じように交響曲全集と序曲集に分けず4枚組セットとして出せばよかったのだ。なお、その輸入盤セットは、もちろん日本盤の交響曲全集と序曲集を合わせて買うより安いし、ボックスも普通の1枚物CDのケース1つ分より少し大きい程度で、とても良いのだが、日本盤と違い第2番「讃歌」の歌詞(ともちろん対訳)がついてない点が惜しい。どちらを買うかは、その人の判断しだいだろう。