「メンタリング」について書かれた本の中には、リーダーシップ論やコーチングの技法論と同じになってしまっているもの散見し、短期間でパフォーマンス向上を求めることが直接目的であるかのような書かれ方をしているものもあります。
本書では「メンタリング」の目的を、メンティ(メンタリングを受ける人)の「キャリア発達を援助する」ことであるとし、メンターがメンティに向き合う際の姿勢を重視するとともに、メンター自身の成長をも促すとしていて、そうした考え方のベースにカウンセリング理論があることが読み取れます。
最終章では、企業内で「メンター制度」として導入し運用する際のポイントが述べられていて、メンティに希望するメンターを選ばせる「ドラフト会議方式」などは、メンターの本来の姿は自然発生的な私的なものであり、制度はその仕掛けであるという考え方からすれば、納得性の高いものと言えます。
新書ゆえの簡潔さで、物足りなさもあるかも知れませんが、入門書ほど著者の「見方」が入るものはないかもしれず、個人的には著者の「見方」は「メンタリング」の本筋を押さえたものだと思います。
メンターを志す方は、本書を足掛かりにカウンセリング心理学の本などに読み進むのもいいのではないでしょうか。