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筆者達は、「終章」において「ベンツ一色という“不平等な”取り上げ方をした」理由として、「ベンツの先見力と実践が、紛れもなく優れたものである」ことなど、三つの理由を挙げているが、私には、ベンツを賞賛するあまり、他メーカーに対する調査や検証がなされていないだけではないかと思えてならない。
たとえば、文庫版の85ページに
1968年、メルセデスは、それまで二点式だったシートベルトを改善し、三点式のシートベルトを開発した。1973年以降は全モデルへの標準装備を行っている。この発明は、現在でも乗員保護システムの最も重要な位置を占めており、……
などとあるが、私の手元にあるボルボのパンフレットには
1958年 3点式シートベルト特許取得
1959年 3点式フロントシートベルトを装備
1967年 後席座席に3点式シートベルトを装備
とある。
人命を尊重するベンツが、日本国内では、左ハンドルのクルマを売っているし、環境意識が高いベンツが、小さなクルマに6リットルものエンジンを載せるいる。
筆者達が言うほど、一貫したメーカーなのだろうか。
私には、筆者達は単にベンツを礼賛するあまり、内容の客観性の確保をないがしろにしているのではないかと思うし、さらに、その結果、肝心のベンツ自体さえもありのままに見られていないのではないという疑念を最後まで払拭することができなかった。
安全や環境といった人間にとって大切なことが分かりやすくまとめられているのに、ビジネス誌の企業記事風の安っぽい情緒的な書き方が、内容の信頼性を損なっているように思えて、残念である。
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