映画鑑賞直後にもう一度見直したくなる映画というのは,そう多くないと思いますが本作はまさにそういった種類の映画です。
本作はクリストファー・ノーラン監督のデビュー作「フォロウィング」を発展させたような作りで,映画編集の妙を味わえます。
物語の主人公である男レナードは,妻が殺害される現場を目撃し,犯人から受けた外傷で記憶が10分間しか保てなくなっている,という設定で,映画は結末から時間を遡る形で進行します。
いきなりオープニングで主人公レナードが銃を向ける男が,時間を遡るうちに実はレナードの犯人探しを手伝う男テディだと分かるが,果たしてこの怪しげな男が本当に妻殺しの犯人なのか。本当に信用出来る人物は誰なのか。最後まで飽きさせない見事な演出です。
特典として,時系列に編集し直した作品を見ることができますが,本編を見終わった後に,特典を見ると実に巧く編集されていることが分かります。
クリストファー・ノーラン監督は,この作品でその力量を高く認められ,バットマンの新シリーズを自ら脚本監督し大成功を収めました。
エンターテイメント作品でありながら単なるハリウッド的な展開に満足せず,鑑賞後視聴者に「これは凄い」とうならせる作品を作り続ける,最も新作が待ち遠しい監督の一人です。
現時点における同監督の最高傑作は「インセプション」だと思いますが,この「メメント」にはその映像センスや編集の妙の片鱗が如実に表れています。