森さんの最新刊は、雑誌「月刊J-novel」に連載されたエッセイ・評論を集めた一冊です。それぞれの文章の初出は2004年秋から2006年末まで。と言っても、ぼくはこの雑誌については知らなかったので、はじめて読むものばかり。
本の大きなテーマは「死」。もともとはタイトルも『メメント・モリ』というものだったようです。ほんとうに、おっきなテーマです。とは言っても、それぞれの文章は真正面から「死」をあつかっているわけではありません。だから、あんまり肩に力を込めて読む必要もありません。要するに、森さんのいつもの文章です。
とくに印象深かったのは、「池田くんとの思い出」という文章。中学時代の友人である池田くんは、大学に入ると自殺してしまう。その池田くんの遺書のようなノートが残されていて、そこには「森が羨ましい」という一文が書き記されていた、とのこと。
一般には、オウムやメディアに対する発言が多くあるので、「社会的な」監督・物書きの一人とされる森さんだけど、たまに出てくるひどく個人的なお話(例えば池田くんの思い出やペットのこと)が、ぼくには面白く感じました。それに、そういった個人的なものごとにこそ、この本のテーマである「死」は合っているようにも思ったのです。
だから、欲を言えば、そういった森さんのより個人的なものごとのことなんかを、もっともっと読みたかったです。