著者のワンダ・セラーWanda Sellar氏は永きに渡り、西洋占星術の本場である、英
国で業績を積み重ねたアストロロジャーであり、また本書刊行の機にあわせ'10年9月、
来日講演もなさっており、その折にわが日本の占星術師や研究家達に、大いなる恵み
をももたらしたのは記憶に新しい処でもあります。
内容は、西洋占星術と医学との関係の歴史にかんする詳述にはじまり、医療(体の
器官、栄養や化学、病気)と占星術(サイン・天体・ハウスやアスペクト)との照応
するさまが書かれていますが、占星術の記述は、古典占星術の膨大な知識に裏づけら
れています。
また日本の西洋占星術においてはまだまだ「応用知識」扱いである、ミッドポイン
トを利用しているのも、興味深い処といえるでしょう。
こう書くと、医学はもとより、西洋占星術にかんする、くわしい知識を要する、読
み進めるのがむずかしい著書なのでは、と思われる方もおられるでしょうが、著者は
文章の平易さを第一に心掛けているので、私達読者はむしろ、読み進めつつ、上述古
典やミッドポイント等の記述に自然と入っていける、とレヴュアーは考えます。
数あるケース・スタディの文章は、本場である英国占星術界の精鋭ならともかく、
私達日本人読者の多くはその、あざやかな解釈ぶりを読んで唸るしかない、といった
ものばかりといえるでしょう。
また、メディカル・アストロロジーにかんする洋書で、邦訳されていないものは未
だ膨大にあるのが現状ですが、それらを読むさいにも本書はおおいに参考になります
(邦訳なされた、安珠氏に感謝いたします)。
なかでも解剖学用語集や病気/シグニフィケーター用語集は重宝するデータであり、
体の器官名や病名には耳慣れぬものも多数あります。