筋立てのある映画やドラマも好きだけれど、どうしても受身に作品と接してしまう。それは鑑賞体験を重ねるにつれて物足りなさへとつながる。世の中には明快な刺激を伴わない難解な映像作品もある。メディアそのものについて自己省察的でコンセプチュアルに作られた、鑑賞者に能動的なコミットメントを求める挑発的な映像の世界が、大衆的映像文化の副流として存在する。インディーズの「映画」までで足踏みしていたシネフィルが、現代美術としての「映像」に開眼するには恰好の入門書となる。松本俊夫氏や飯村隆彦氏らをはじめとする執筆陣の個人史的な記述も興味深い。ただ、残念なのは装丁がフィルムアート社みたくキャッチーではないこと。